疾風を駆け抜ける祈り:日本の伝統「流鏑馬」の歴史と楽しみ方
「流鏑馬」という言葉を聞くと、なんだか古くて難しそう、なんて思っていませんか?でも、実はこの流鏑馬、日本の歴史と文化、そして自然への敬意がぎゅっと詰まった、とっても魅力的な神事なんです。

「流鏑馬(やぶさめ)」という言葉を聞くと、なんだか古くて難しそう、なんて思っていませんか?でも、実はこの流鏑馬、日本の歴史と文化、そして自然への敬意がぎゅっと詰まった、とっても魅力的な神事なんです。
今回は、そんな流鏑馬の深い歴史から、なぜ神事として受け継がれてきたのか、そして私たちがその迫力をどう楽しめばいいのか、じっくりとご紹介していきたいと思います。
流鏑馬、その歴史の息吹を感じて
流鏑馬の歴史は、私たちが想像するよりもずっと古く、平安時代後期にはすでに「流鏑馬」という言葉が登場していたそうです。当時は、貴族たちの間で楽しまれる「騎射(きしゃ)」という馬上の弓術の一つとして盛んに行われていました。なんだか優雅なイメージが湧いてきますよね。
しかし、その性格が大きく変わったのが鎌倉時代。源頼朝が1187年に鶴岡八幡宮で流鏑馬を奉納したことをきっかけに、これは単なる武術の鍛錬だけでなく、神様の前で行う神聖な儀式、つまり「神事」としての意味合いを強く持つようになりました。武士たちにとっては、馬術と弓術を一体として身につけるための重要な訓練であり、精神力を高めるための道でもあったわけです。
戦国時代に入ると、集団戦や鉄砲の登場によって、個人武芸としての流鏑馬は一時的に衰退してしまいます。でも、泰平の世が訪れた江戸時代には、八代将軍徳川吉宗の命によって再び復興を遂げました。将軍家の病気平癒や誕生祈願のため、たびたび神事として執り行われるようになり、武家社会の中にしっかりと根付いていったんです。
現代では、武田流や小笠原流といった古くからの流派がその作法を伝承している一方で、各地の神社で神事として、あるいは観光イベントとして、多様な形で受け継がれています。最近では、競技性を追求した「スポーツ流鏑馬」なんてものも登場して、性別や年齢を問わず、もっと身近に流鏑馬を楽しめるようになっているんですよ。

神事としての流鏑馬:一矢に込められた祈り
流鏑馬が単なる武術ではない、というのは、その「神事」としての側面に触れるとよくわかります。疾走する馬上から的を射るその一挙手一投足には、古くから様々な願いが込められてきました。
主な願いとしては、天下泰平、五穀豊穣、万民息災、そして病気平癒。つまり、世の中の平和や人々の健康、豊かな実りを神様に祈り捧げる、非常に神聖な儀式なんです。射手が的を射る際に「陰陽(いんよう)」と叫ぶのは、厄除けの意味も込められていると言われています。
流鏑馬の儀式は、奉幣(ほうへい)の儀から始まり、射手や諸役が馬場を行列する「馬場入り」を経て、いよいよ騎射が始まります。的は通常三つ設けられ、それぞれが国の繁栄、天下泰平、五穀豊穣といった意味を持つこともあります。矢が的に当たると、その年の吉兆とされ、当たった矢や的がお守りとして大切にされることもあるんですよ。
この神聖な儀式は、射手たちが日頃から礼法や体幹、弓の訓練を積み重ねて初めて奉仕できるもの。馬に乗って弓を引き、掛け声を出すという三つの動作を同時にこなすには、強靭な体と集中力、そして何よりも神への敬虔な気持ちが必要不可欠なんです。

現代に息づく古の技:流鏑馬のイベントと楽しみ方
長い歴史の中で形を変えながらも、流鏑馬は現代にしっかりと受け継がれています。今では、古式ゆかしい神事としてだけでなく、地域の文化イベントや観光の目玉としても、私たちを楽しませてくれています。
伝統的な流鏑馬が見られる場所として特に有名なのは、やはり鎌倉の鶴岡八幡宮、京都の下鴨神社、そして東京の明治神宮でしょうか。これらの場所で見る流鏑馬は、まさに時代絵巻そのもの。射手たちが狩装束を身にまとい、馬場を駆け抜ける姿は、息をのむほどの美しさです。
流鏑馬を実際に観覧すると、その場にいるだけで心が洗われるような感覚になります。馬の蹄の音、風を切る矢の音、そして的を射抜いた瞬間の「カーン!」という乾いた音と、観客からの大きな拍手。島根県の鷲原八幡宮のように、室町時代に構築された国内最古の馬場が残る場所で見る流-鏑馬は、まさに歴史の息吹を感じさせてくれますし、福島県の古殿八幡神社例大祭の流鏑馬は、県の重要無形民俗文化財にも指定されているほどです。
これらの場所で、古の武士たちが何に祈り、何を願って矢を放っていたのか、そんなことを考えながら見ると、一層深く感動できるはずです。
流鏑馬は、ただの伝統行事ではありません。それは、古の武士たちが大切にした精神性や、自然への畏敬の念、そして平和への願いが、時を超えて現代に語りかけてくるような、そんな存在だと私は思います。もし機会があれば、ぜひ一度、その目で流鏑馬の迫力と美しさを体験してみてください。きっと、あなたの心にも深く響く、忘れられない感動が待っているはずですから。
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