馬と心を通わせる第一歩:乗馬の始め方と本当に必要な道具
「いつか馬に乗ってみたい」その夢、今年こそ叶えてみませんか?乗馬に憧れを抱きつつも、何から始めたらいいか分からないあなたへ。体験乗馬のリアルから、最初に揃えるべき道具まで、具体的にお話しします。

馬って、本当に美しい生き物ですよね。あのしなやかな筋肉、賢そうな瞳、そして何よりも、その大きな体に秘められた優しさ。私もずっと「いつか馬に乗ってみたいなぁ」という漠然とした憧れを抱いていました。映画やドラマで見る、草原を馬で駆け抜けるシーンは、何度見ても心が躍ります。でも、どこか自分とは縁遠い、特別な世界の出来事のように感じていたんです。
「乗馬ってお金がかかりそう」「なんだか敷居が高い気がする」「運動神経が良くないと無理なんじゃないか」なんて、始める前からたくさんの言い訳を心の中で並べていました。正直なところ、馬に乗るなんて夢のまた夢、と半ば諦めていた時期もあったくらいです。でも、心のどこかでは、あの大きな背中に揺られて風を切る爽快感を味わってみたい、という気持ちがずっと消えずにありました。
そんな私が、ある日ふと「本当に無理なのかな?」と思い立ち、本気で調べてみたんです。すると、意外にも日本には乗馬を気軽に始められる場所がたくさんあることを知りました。特に、私のような全くの初心者に向けた「体験乗馬」というプログラムが充実していて、想像していたよりもずっと身近な存在だったことに、本当に驚きました。もしあなたも、かつての私と同じように、ただ憧れを抱いているだけなら、ぜひこの先を読み進めてみてください。きっと、新しい扉が開くはずです。
最初のステップは「体験乗馬」から
日本で乗馬を始めるなら、何はともあれ「体験乗馬」に参加するのが一番の近道です。ほとんどの乗馬クラブが、初心者向けの体験レッスンを用意していて、これが乗馬の世界への最高の入り口になります。私も最初は「馬に触ったこともないのに大丈夫かな…」とドキドキでしたが、インストラクターの方がマンツーマンで丁寧に教えてくれるので、全くの未経験でも安心して馬と触れ合うことができました。
体験レッスンでは、まず馬との接し方から教わります。馬の横に立つ時の注意点、撫で方、そして手綱の持ち方や乗り方、降り方まで。馬が安心するように、優しく声をかけながら接するのがポイントだと教わりました。実際に馬に触れると、その体温や息遣いが伝わってきて、生き物としての存在感に圧倒されます。この最初の触れ合いだけで、感動してしまうほどでした。
レッスンが始まると、まずはインストラクターが馬を引いてくれる「引き馬」で、馬の背中に揺られる感覚に慣れていきます。視線がぐっと高くなり、馬の歩くリズムが体に伝わってくるのは、本当に不思議な感覚です。少し慣れてきたら、いよいよ自分で手綱を持って、馬を歩かせたり止めたりする練習。最初は緊張で体もガチガチでしたが、「もっとリラックスして、馬を信じてみて」というインストラクターの言葉に、少しずつ力が抜けていきました。費用はクラブによりますが、大体30分〜45分で5,000円前後から。この価格で、これだけの非日常体験ができるのは、本当に価値があると思います。

最初はレンタルでOK!揃えるべき基本の道具
乗馬を始めると決めた時、次に気になるのが道具のことですよね。「専門の道具って高そうだし、何を揃えたらいいんだろう?」と不安になるかもしれません。でも、安心してください。最初からすべてを完璧に揃える必要は全くありません。ほとんどの乗馬クラブでは、体験レッスンや入会したての方向けに、必要な基本装備をレンタルしてくれるんです。
まず、絶対に欠かせないのが「ヘルメット」です。これは、万が一の落馬から頭を守るための、最も重要な安全装備。自転車用などではなく、必ず乗馬専用のものを着用しましょう。クラブで必ずレンタルできますが、もし乗馬を続けていくなら、自分の頭の形にぴったり合うものを最初に購入するのがおすすめです。フィット感が良いと、乗っている時の集中力も変わってきます。
次に「ブーツ」と「チャップス」。乗馬用のブーツは、鐙(あぶみ)に足が深く入り込みすぎるのを防ぎ、足元を安定させる大切な役割があります。初心者のうちは、足首までのショートブーツに、ふくらはぎを保護する「チャップス」という革製のカバーを組み合わせるスタイルが一般的。これもレンタル品が充実していますが、自分の足に合うブーツは、馬への指示(脚扶助)が格段に伝わりやすくなります。
そして、「グローブ」もぜひ用意したいアイテムです。手綱を握る手は、意外と摩擦で疲れたり、マメができたりします。専用のグローブは滑り止め効果が高く、手綱をしっかりと、でも余計な力を入れずに持つことができます。これは比較的安価なので、レンタルするよりも自分専用のものを一つ持っておくと、ぐっと快適になりますよ。
最後に、乗馬用のズボンである「キュロット」。体験乗馬では動きやすい長ズボンでも大丈夫ですが、本格的に始めるならぜひ手に入れたい一品です。お尻や膝の内側にグリップ素材が付いているものが多く、鞍の上での安定感を格段に高めてくれます。縫い目が内側にない設計なので、股ずれの心配もありません。最初はレンタルで試してみて、続ける決心がついたら、これらの基本装備を少しずつ揃えていくのが賢い選択です。

馬との対話を楽しむということ
乗馬は、単なるスポーツではありません。それは、馬という大きく賢い生き物との「対話」だと、私は感じています。力でコントロールしようとしても、10倍以上の体格差がある馬には全く通用しません。大切なのは、馬の気持ちを理解しようと努め、信頼関係を築いていくことです。
馬はとても繊細で、乗り手の感情を敏感に読み取ります。こちらが緊張して体を硬くしていると、それは馬にも伝わってしまい、馬も緊張してしまいます。逆に、こちらがリラックスして自信を持って接すれば、馬も安心して指示に従ってくれます。インストラクターがよく「馬を信じて」と言うのは、まさにこのこと。馬を信頼し、体を預けることで、初めて人馬一体の感覚が生まれるのです。
レッスンを重ねるうちに、少しずつ馬の出すサインが分かるようになってきます。耳がピンと前を向いている時は何かに集中している時、リラックスしている時は少し横を向いている時。そうした小さな変化を感じ取れるようになると、乗馬はさらに奥深いものになります。自分の指示で馬が動いてくれた時の喜びは、何物にも代えがたいものがあります。それは、言葉の通じないパートナーと心が通じ合った瞬間だからです。
この「対話」のプロセスは、日常生活にも良い影響を与えてくれる気がします。相手の立場に立って物事を考えたり、言葉以外のコミュニケーションを大切にしたり。乗馬を通じて学ぶことは、思った以上にたくさんあるのかもしれません。
憧れから、一生の趣味へ
もしあなたが「体験乗馬だけじゃ物足りない、もっと上手になりたい」と感じたら、乗馬クラブへの入会を検討してみましょう。会員になると、定期的にレッスンを受けることができ、同じ目標を持つ仲間との出会いも待っています。上達してくると、駈歩(かけあし)で風を切って走ったり、森や海岸を散策する「外乗(がいじょう)」に出かけたりと、楽しみの世界は無限に広がっていきます。
もちろん、乗馬は決して安い趣味ではありません。でも、それ以上にお金では得られない価値があると、私は確信しています。馬の世話をしたり、馬装を整えたりする時間も、馬との絆を深める大切なひととき。馬の温かい鼻息を感じながらブラッシングをしていると、日々のストレスがすーっと消えていくようです。
動物が好き、自然が好き、何か新しいことに挑戦してみたい。そんな気持ちがあるなら、ぜひ一度、乗馬クラブの門を叩いてみてください。そこには、あなたが今まで知らなかった、豊かで穏やかな時間が流れています。馬の背中から見る景色は、きっとあなたの世界を少しだけ広げてくれるはずです。
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