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茶道家が推薦する、初心者向け抹茶の選び方

初めて抹茶を点ててみたい、でもどれを選べばいいか分からない…。そんなあなたへ、茶道経験者が本当に美味しい抹茶の見分け方と楽しみ方を、基本から丁寧にご紹介します。

静かな空間で、茶筅を使い抹茶を点てている様子
この一杯から始まる、心安らぐ時間。日常に、ほんの少しの静寂と彩りを。Source: Cup of Couple / pexels

最近、カフェのメニューで抹茶ラテを見かけることも増え、私たちの生活にとって「抹茶」がより身近な存在になってきたように感じます。あの深く、そして優しい味わいに惹かれ、「自分でも点ててみたい」と思ったことがある方も少なくないのではないでしょうか。

でも、いざ抹茶を購入しようとすると、その種類の多さに圧倒されてしまうかもしれません。価格も様々で、パッケージを見ただけでは何が違うのかさっぱり分からない…。私も茶道を始める前は、同じように感じていました。「作法が難しそう」「高価なものじゃないと美味しくないのでは?」そんな風に考えて、一歩を踏み出せずにいたのです。

しかし、いくつかのポイントさえ押さえれば、初心者の方でも失敗なく、本当に美味しい抹茶に出会うことができます。今回は、茶道家として私が学んだ経験をもとに、初心者の方が最初に選ぶべき抹茶の基準と、その楽しみ方について、丁寧にお話ししていきたいと思います。

なぜ「最初の抹茶選び」が重要なのか

抹茶選びで最初に知っておいていただきたいのは、「お稽古用(おけいこよう)」と「食品加工用」では、全くの別物だということです。スーパーなどで安価に手に入る抹茶の多くは、お菓子作りやラテなどに使うことを目的とした「食品加工用」です。これらは苦味や渋みが強く、そのままお湯に溶いて飲むにはあまり向いていません。

もし、初めて飲んだ抹茶がこの「食品加工用」だったらどうでしょう。「抹茶って、なんだか苦くて美味しくないな」と感じてしまい、それ以降、抹茶から遠ざかってしまうかもしれません。それは、あまりにもったいないことです。

一方で、茶道で使われるような質の良い抹茶は、驚くほどまろやかで、豊かな旨味と自然な甘みを感じることができます。苦味はほとんどなく、後味はすっきりと爽やか。この「本物の味」を知っていただくことこそが、あなたの抹茶ライフを豊かにする上で、最も大切な第一歩なのです。

初心者が選ぶべき抹茶、3つのポイント

では、具体的にどのような抹茶を選べば良いのでしょうか。高価なものである必要は全くありません。大切なのは、これからお伝えする3つのポイントをしっかりと見極めることです。

1. 鮮やかな「緑色」をしていますか?

良い抹茶を見分ける最も簡単で、そして重要なポイントが「色」です。質の高い抹茶は、思わず見とれてしまうほど、鮮やかで明るい緑色をしています。新緑の若葉のような、生命力あふれる色、と表現すれば伝わるでしょうか。

逆に、黄色っぽかったり、くすんだ深緑色をしていたりするものは、あまり品質が良くない可能性があります。これは、古い茶葉を使っていたり、製造過程や保存状態に問題があったりするサインです。まずはパッケージの小窓や、お店の見本をよく見て、その色の鮮やかさを確認してみてください。

2. 「お稽古用」または「薄茶(うすちゃ)」と書かれていますか?

抹茶には、大きく分けて「濃茶(こいちゃ)」と「薄茶(うすちゃ)」という楽しみ方があります。濃茶は、ドロリと濃厚で、ごく一部の高級な抹茶でしか美味しく味わうことができません。初心者がまず目指すべきは、サラリと飲みやすい「薄茶」です。

そのため、購入する際には「薄茶用」や「お稽古用」と明記されているものを選びましょう。これらは、薄茶として飲むことを前提に作られており、苦味や渋みが少なく、バランスの取れた味わいが特徴です。価格帯としては、20gで1,000円〜1,500円程度のものから試してみるのがおすすめです。この価格帯でも、十分に抹茶本来の美味しさを感じることができるはずです。

3. 有名産地のものを選ぶと、さらに安心

もし、どの銘柄を選べば良いか迷ってしまったら、有名な産地で選ぶのも一つの方法です。抹茶の三大産地として知られるのは、京都の「宇治」、愛知の「西尾」、そして福岡の「八女」です。

特に「宇治抹茶」は、その品質の高さとブランド力で、国内外で広く知られています。もちろん、産地だけで全てが決まるわけではありませんが、これらの産地で作られた抹茶は、厳しい品質管理のもとで製造されていることが多く、初心者の方でも安心して選ぶことができるでしょう。

抹茶を点ててみよう

お気に入りの抹茶が見つかったら、いよいよ自宅で点ててみましょう。「茶筅(ちゃせん)」や「抹茶碗(まっちゃわん)」といった道具が必要になりますが、最近ではこれらがセットになった初心者向けのスターターキットも多く販売されています。

茶筅、茶杓、抹茶碗など、抹茶を点てるための道具一式が木の盆の上に並べられている
一つ一つの道具に触れるたび、心が静かに整っていくのを感じます。Source: Anna Pou / pexels

点て方は、決して難しくありません。

  1. まず、抹茶碗に茶杓で2杯(約2g)ほどの抹茶を入れます。
  2. そこに、80℃くらいに少し冷ましたお湯を70mlほど注ぎます。
  3. 茶筅を使い、手首のスナップを効かせて「m」の字を描くように素早く、そしてリズミカルに振ります。
  4. 表面にきめ細かい泡が立ち、全体がふんわりとしたら完成です。

最初はうまく泡が立たないかもしれませんが、心配いりません。何度か繰り返すうちに、必ず上手に点てられるようになります。大切なのは、完璧を目指すことよりも、その過程を楽しむ心です。

茶筅を振るサラサラという音、立ち上る抹茶の豊かな香り、そして、自分で点てた一杯を味わう静かな時間。それは、日々の喧騒から離れ、自分自身と向き合うための、ささやかで、しかし何にも代えがたい贅沢なひとときとなるはずです。

この記事が、あなたの素晴らしい抹茶ライフの始まりとなることを、心から願っています。

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