DEIって何?企業が本気で取り組むべき理由と、明日から真似できる具体事例
最近よく耳にする「DEI」という言葉。これって、ただの流行り言葉なんでしょうか?実は、これからの企業にとって、そして私たちの働き方にとって、ものすごく大切な考え方なんです。

最近、ニュースやビジネス誌で「DEI」というアルファベット3文字を見かけることが、本当に増えましたよね。正直に言うと、私も最初は「また新しいビジネス用語か…」なんて、少し遠い目で見ていた一人です。Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括性)。言葉の意味はなんとなく分かるけれど、それが具体的に何を指していて、なぜ今、こんなにも重要視されているのか、ピンと来ていない人も多いのではないでしょうか。
でも、このDEIという考え方、実は単なるトレンドではなく、日本の企業がこれから生き残っていくため、そして私たち一人ひとりがもっと自分らしく、気持ちよく働くための、ものすごく重要な鍵になるんです。少子高齢化で働き手がどんどん減っていく中で、これまでのように「同じような人たち」だけを集めていては、会社は立ち行かなくなります。さまざまな背景を持つ人々の力を、いかにして引き出すか。DEIは、そのための具体的なアクションプランとも言えるのかもしれません。
今日は、このDEIという考え方を「自分ごと」として捉えられるように、その本質的なメリットと、日本の企業が実際に行っている具体的な取り組みを、できるだけ分かりやすく、そしてリアルな視点でお話ししていきたいと思います。
そもそもDEIって、一体何?
まず、言葉の定義を少しだけおさらいさせてください。でも、教科書的な説明じゃつまらないので、私なりの解釈で話してみますね。
**Diversity(多様性)**は、いわば「チームのメンバー構成」そのものです。性別、年齢、国籍、障がいの有無、性的指向、宗教、価値観、キャリア経験…。本当に色々な「違い」を持った人々が、同じ組織の中に存在している状態を指します。ただ、気をつけてほしいのは、多様性は「ただ人が集まっているだけ」では意味がない、ということです。色とりどりの絵の具がパレットに並んでいるだけでは、素敵な絵は描けませんよね。
そこで重要になるのが、**Inclusion(包括性)**です。これは、パレットに並んだ様々な色の絵の具が、それぞれの個性を失うことなく混ざり合い、一つの作品として調和している状態。つまり、組織にいる一人ひとりが「自分はここの一員だ」と心から感じられ、安心して自分の意見を言えたり、能力を発揮できたりする「心理的な安全性」が確保されている状態を指します。どんなに多様な人材がいても、発言する機会がなかったり、意見が無視されたりするなら、その多様性は宝の持ち腐れになってしまいます。
そして、最後がEquity(公平性)。これが一番、誤解されやすいかもしれません。「Equality(平等)」とよく混同されるのですが、この二つは似ているようで全く違います。平等が「全員に同じものを与える」ことだとすれば、公平性は「一人ひとりの異なる状況やニーズに合わせて、必要な支援や機会を提供する」ことです。例えば、全員に同じサイズの自転車を配るのが「平等」。でも、背の低い人には小さい自転車を、足の不自由な人には手で漕げる自転車を用意するのが「公平性」です。スタートラインが違う人たちに、同じ機会へのアクセスを保証する考え方、それがEquityなんです。
なぜ今、DEIが重要なのか?企業にもたらす本当のメリット
では、なぜ今、多くの企業が躍起になってDEIを推進しようとしているのでしょうか。それは、DEIが単なる「良いこと」だから、という理由だけではありません。企業経営にとって、極めて現実的で大きなメリットがあるからです。
最大のメリットは、間違いなく「イノベーションの促進」です。同じようなバックグラウンドを持つ人々が集まると、思考のパターンも似通ってしまい、新しいアイデアは生まれにくくなります。一方で、多様な視点や経験を持つ人々が議論を交わせば、思いもよらない化学反応が起こります。ある調査によれば、意思決定チームの多様性が高い企業は、そうでない企業に比べて業績が60%も上回るというデータもあるほど。これは、多様な顧客ニーズを理解し、それに応える製品やサービスを生み出す上で、決定的な強みになります。
次に、「人材獲得競争力の強化」も無視できません。特に若い世代は、企業のDEIに対する姿勢を非常に重視しています。自分らしさを尊重し、誰もが公平にチャンスを与えられる職場で働きたいと考えるのは、ごく自然なこと。DEIに積極的に取り組む企業は、優秀で意欲的な人材にとって、それだけで魅力的な選択肢となるのです。そして、社員が「この会社は自分のことを大切にしてくれる」と感じられれば、エンゲージメントが高まり、離職率の低下にも繋がります。

国内企業のDEI最前線!明日から参考にしたい取り組み事例
「理屈は分かったけど、具体的に何をすればいいの?」と思いますよね。幸いなことに、日本国内でも多くの企業がDEIに本気で取り組み、素晴らしい成果を上げています。
例えば、化粧品大手の資生堂は、女性活躍推進のパイオニアとして知られています。国内管理職の女性比率を37%以上にまで高め、育児中の社員が働きやすいよう、事業所内に保育所を設置したり、柔軟な時短勤務制度を導入したりしています。これは、単に制度を作るだけでなく、「女性がキャリアを諦めずに働き続けられる文化」を本気で根付かせようという強い意志の表れです。
また、IT企業のサイボウズは、「100人100通りの働き方」を掲げ、社員が働く場所や時間を自由に選べる制度を導入しています。育児や介護、副業、地方移住など、社員一人ひとりのライフステージや価値観に合わせた働き方を許容することで、多様な人材が能力を最大限に発揮できる環境を整えています。これは、まさに「Equity(公平性)」を体現した取り組みと言えるでしょう。
LGBTQ+への取り組みで注目されるのが、**日本たばこ産業(JT)**です。同性パートナーを配偶者として福利厚生の対象にしたり、全社員を対象としたeラーニング研修を実施したりすることで、性的指向や性自認に関わらず、誰もが安心して働ける職場づくりを進めています。こうした取り組みは、「PRIDE指標」で最高評価の「ゴールド」を5年連続で受賞するなど、社外からも高く評価されています。
これらの事例に共通しているのは、DEIを単なる人事施策ではなく、「経営戦略の根幹」として位置付けている点です。トップが明確なビジョンを示し、具体的な目標を掲げ、そして何よりも、社員一人ひとりの意識を変えるための地道な努力を続けている。それが、成功の鍵なのかもしれません。
DEIへの取り組みは、決して簡単な道のりではありません。時には価値観の違いから対立が生まれることもあるでしょう。しかし、その対立を乗り越え、互いの違いを尊重し合えた時、組織はもっと強く、もっとしなやかになれるはずです。
この記事を読んで、少しでもDE-Iが身近なものに感じられたなら、とても嬉しく思います。私たちの職場が、そして社会全体が、誰もが自分らしく輝ける場所になるように。その第一歩は、まず「知る」ことから始まるのかもしれませんね。
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